2018年は1月にコインチェックのハッキング事件、9月にはザイフのハッキング事件と仮想通貨取引所の不正アクセスが結構騒がれました。
過去、2014年にもマウントゴックス社破綻事件などもあって今まで、日本でも大きい事件が3回も起こっています。
ですが、これらの不正アクセス事件は世界でも結構起こっているんです。
きっとこの記事を読もうと思ったあなたも、そういった事件がきっかけで、
「仮想通貨取引所が破綻・倒産したらどうなるんだろう?」
「自分の資産は預けたままでも保証されるのかな?」
「自分にどんなデメリットが降り注いでくるのかな・・・」
などのような心配をされているのではないでしょうか?
結論から言って、取引所が破綻した場合、その取引所に資産を預けていたら結構な被害を受けてしまうことになります。
実際に僕も1月に起きたコインチェック事件ではそれなりの被害を受けました。
ですが、あらかじめ破綻した場合の損失がどういうものなのか知っておけば、ある程度の対策もできて、被害を抑えることも可能です。
そこで今回は、コインチェック事件を実際に体験した僕が、仮想通貨取引所が破綻した時に自分に対して起こる被害と、その対策について徹底的に解説していきます。
自分の資産を安全に保ちながら、仮想通貨で利益を取りたいと思っている人は必見ですよ。
目次
そもそも仮想通貨取引所が破綻・倒産する原因は?
仮想通貨取引所が破綻する原因は、主にハッキング・不正アクセスです。
むしろ、それ以外の理由で破綻するということは滅多に起こりえないでしょう。
冒頭でも説明した3つの事件、コインチェック・ザイフ・マウントゴックス社は全てハッキングが原因ですからね。
これらの会社は破綻までしていなくとも、買収されたり多額の資金援助を受けたりしていますので事実上、経営破綻したと言っても過言ではありません。
過去のハッキング事件の事例
では、実際に過去にあった上記3件のハッキング事件の内容をみて、事件が起こった後、どうなったのか確認してみましょう。
他の有名な事件についても以下の記事でまとめているので、参考にしたい人はご覧ください。
マウントゴックス事件
マウントゴックス社破綻事件は、おそらく仮想通貨の過去最大の事件じゃないですかね。
2014年に65万ビットコインと28億円を消失したとして会社が破綻したとんでもない事件です。
65万BTCがどれくらいかというと、2018年9月現在、1ビットコイン=約70万円として計算したら、約4500億円の被害。
この事件の問題点は大きく分けて2つです。
- ハッキングにより流失してしまうオンラインでビットコインを管理していたこと
- ビットコインと預かり金を簡単に横領できてしまう管理体制
当時、ビットコインの価値がここまで高くなかったために管理体制が今と比べて全然弱かったんですね。
事件の真相は当時、社長のマルク・カルプレス氏が横領してて顧客のビットコインを盗んで使って遊び散らかしていたと言われていたんですが、本当は外部からハッキングされていたという事件です。
実は、この事件に関してはまだ完全に解決したわけではありません。
その時に損失したBTCをどうするのか、顧客に当時の価格(1BTC=約5万円)を参考に日本円で返却するのか、など現在も話が進められています。
なので当時の被害者は、宙ぶらりんの状態なんです。
日本のビットコイン第一人者である大石さんがそのことについて言及していますので、気になる人は以下の記事をご覧ください。
→ 大石哲之:マウントゴックスの民事再生計画の今後は【フィスコ・仮想通貨コラム】
コインチェック事件
コインチェック事件は、2018年1月26日に「5億2300万NEM(当時の価格で約580億円)」が不正アクセスにより盗まれた事件です。
なぜ不正アクセスが起こってしまったかというと、ネム(NEM)をオンラインで管理していたことでハッキングの対象になってしまったから。
結果としてネムの価格はそこから暴落したのですが、コインチェックはその当時の価格(1NEM=88円)を日本円にして、被害を受けたユーザーに補償しました。
そこから回復に向けて取り組んでいましたが、結局、経営が困難となりマネックスグループ会社がコインチェックを買収するという形になりました。
事件の概要はこちら。
ザイフ事件
ザイフ事件は、2018年9月14日(推定)に、
- 5,966BTC(約42億円)
- 600万MONA(約6億7千万円)
- 42,000BCH(約21億円)
これらが不正アクセスにより盗まれた事件です。
これもコインチェック事件と同様にホットウォレット(オンライン)で管理していたことが原因でハッキングされました。
コインチェック事件での教訓は何処へ…。という感じですね。
そして、この事件の結果としてザイフは株式会社フィスコ、ならびに株式会社カイカから50億円もの資金援助、セキュリティ向上のための技術対策を提供してもらうことになりました。
さらに株式会社フィスコとは、株式の過半数を取得する資本提携、過半数以上の取締役及び監査役の派遣という内容で基本契約を締結することにもなり、事実上フィスコが買収したような形になりました。
現在は、被害を受けたユーザーへ被害額相当の補償をするということで発表されていますが、具体的な内容はまだ完全に決まっていません。
さらに詳しい内容はザイフ公式サイトのプレスリリースをご覧ください。
破綻・倒産した時に自分に起こる3つの被害
事件の内容を見ても自分に被害が起きてないと実感できない部分もあると思います。
なので、もっと具体的にどんなデメリットが起こるのか、実際に僕が被害を受けて感じたことも踏まえて紹介していきますね。
大きな被害・デメリットは以下の3つです。
- 自分の資産が無くなる
- 仮想通貨自体の価格が暴落する
- 仮想通貨が引き出せなくなる
被害①:自分の資産が無くなる
これは文字通りですが、自分の取引所が不正アクセスを受けた際、自分の保有している通貨がハッキングの被害にあったら、その分の資産は無くなります。
これは最後にも詳しく説明しますが、コインチェックもザイフも本来はハッキングされた通貨を補償する義務はありません。(一応これらの事件ではたまたま保証してくれましたが…)
なので、基本的に被害を受けた時点で自分の資産は完全に消えます。
二段階認証を設定していようが、取引所自体がハッキングされたらその時点でアウトです。
自分の財布、通帳・預金カードが全部盗まれて、通帳に入ってるお金も全部盗まれたことを想像してみてください。
ゾッとしませんか?
本当にいきなり、何十万円、何百万円ものお金が消えるのは本当に精神的にやられます。
私生活にも支障が出てしまうかもしれませんので、安全性を高める対策は絶対にした方がいいです。
被害②:仮想通貨自体の価格が暴落する
大きなハッキング事件があったら基本的に仮想通貨の価格は暴落します。
特にコインチェック事件の後なんかすごい暴落でした。
どんどん価格が落ちて、被害を受けたネムは現在1NEM=10円程度です。
ハッキングを受けた時、1NEM=100円近くあったので、単純に1/10ほどになってしまっています。
今これはNEMを例に出しましたが、そもそもハッキングされた時点で、「仮想通貨」に対しての信用が薄れてしまいます。
なので全体の価格が下がってしまいます。
朝、気がついたら「価格が暴落して資産が減っていた」なんてことにもなりかねません。
被害③:仮想通貨が引き出せなくなる
そして、一番キツいのが「仮想通貨を引き出せなくなる」ということです。
ハッキングを受けたからヤバいと思って、他の取引所やウォレットに移そうと思っても、取引所側が混乱を防ぐために仮想通貨の取引を停止させてしまいます。
売買どころか、送金や出金することさえできません。
つまりハッキングが起こると、
通貨の暴落が起きる
↓
取引所に入ってる通貨を急いで日本円に戻したい
↓
取引停止で通貨が動かせない
↓
お金減るのを見守ることしかできない
という最悪のサイクルができてしまいます。
みるみる自分の資産が減っていくのは悲しいだけじゃ済みませんよ。
特に大金を投資して、取引所に放置していた場合は精神が崩壊するレベルです。
こうならないためにも絶対に対策は打っておくべきですね。
破綻・倒産から身を守る3つの対策
取引所がハッキングを受け、破綻しそうになった時の自分への被害・デメリットは想像できたでしょうか?
とんでもないですよね。
僕は当時の自分の状態を思い出すと吐きそうな気分になります。笑
そんな思いをあなたがしないためにも、今度は取引所破綻から身を守る3つの対策を紹介しますね。
対策としてあげられるのは以下の4つです。
- ウォレットへの移行
- できるだけ安全性の高い取引所を使う
- 取引所を分けて分散投資
- そもそも仮想通貨に投資しない
対策①:ウォレットへの移行
一番安全に仮想通貨を管理する方法はウォレットへ移行することです。
そもそも仮想通貨は安全性を高めるために、自身のウォレットへの移行が推奨されています。
特に、「トレザー」や「レジャーナノS」といった【ハードウェアウォレット】と呼ばれるウォレットに移行させておけば、通貨を隔離することができるのでハッキングされるということはまず起こりません。
ただハードウェアウォレットに移行させるのは、面倒な作業をする必要もあるため注意が必要です。
ですが、現在はスマホでも割と安全に管理できる【モバイルウォレット】のアプリなども続々と登場しています。
モバイルウォレットは取扱も簡単で、通貨の出し入れも容易にでき、さらに取引所で管理するよりは安全なので個人的にもおすすめです。
ウォレットに関してもっと詳しく知りたいという人は以下の記事をご覧ください。
対策②:安全性の高い取引所を使う
きっと中には、
「どうしてもウォレットは面倒だからな・・・。」
って感じる人もいると思います。
僕も時間が経って傷が癒えると同時に、通貨を購入してもウォレットに移さずに取引所に放置することが増えてるような気がします。
それに頻繁に売買を繰り返すのであれば、取引所に置いておいた方が楽ですし、少なからずウォレットへの送金手数料もかかりますしね。
そんな時は、少しでも安全性に優れた取引所を使うことをおすすめします。
以下の記事で安全性に優れた取引所を徹底調査してますので参考にどうぞ。
対策③:取引所を分けて分散投資
ウォレットが面倒で、安全性の高い取引所を使っても、ハッキングの可能性が「0」とは言えません。
そういった場合は、せめて取引所を分けて保管するようにしましょう。
一箇所に資産を固めずに分散投資しておけば、万が一ハッキングがあっても少々の被害に抑えられますからね。
また、取引所を複数使い分けることで、他にもメリットがあります。
まだ口座を開設してない人や、1社しか使ってない!という人は以下の記事を読んでみてください。
対策④:そもそも仮想通貨に投資しない
そもそも仮想通貨に投資しないというのも一つの手段だと思います。
まだ仮想通貨の法整備は整ってないところもありますし、正直いって危ないっちゃ危ないです。
他の不動産投資や株式投資に比べたら、仮想通貨投資はだいぶハイリスク・ハイリターンですからね。
なので、
「ハッキングされて自分の資産が無くなるのは絶対に嫌だ」
「安全な投資で稼ぎたい」
という気持ちであるなら、今は仮想通貨を完全に手放してしまっていいでしょう。
手放す場合は、いずれまた仮想通貨はもっと安全になってバブルはやってくるはずなので、その時を見逃さないようにしたいですね。
注意!取引所はユーザーの資産を保証する義務がない
まず、実際に制定された改正資金決済法ですが、仮想通貨交換業者には義務付けがあります。
それは「仮想通貨」と「預かり金」、それぞれについて「ユーザーと自社」の資産を分けて管理しなくてはいけないということ。
当然ですが、これは万一のこととして交換業者がユーザーの資産に手を付けないようにというものです。
ユーザーが返金を求めれば、これに業者は応じなければいけませんが、分離管理されていなかったら場合、返金ができないなんてことにもなりかねませんからね。
ただ、注意して欲しいのはこのあと。
「分別管理をしているから、万一の場合は顧客に返金される」という保証はどこにありません!
残念ですが、取引所が破綻した場合に、仮想通貨や預け金が戻されるという約束はないのです。
なぜなら、仮想通貨業者に対して「証拠金」等のお客様の資産を「信託保全」するような義務付けはないから。
交換業は簡単な表現をすると、「普通の会社」と同じ扱いなんです。
一般の会社と同じように、倒産した場合はまずは「従業員の賃金・他の優先債権」など、弁済が先になるので、少しでも戻ればいい方だという認識でいることが大事です。
まとめ
いかがでしたか?
今回は、仮想通貨取引所が破綻した時に自分に対して起こる被害と、その対策について徹底的に解説しました。
実際に被害に合うと本当に絶望的な気分になってしまいます。
そうならないためにも、みなさんには必ず被害を避けるための対策はして欲しいです。
最後に紹介した、仮想通貨取引所の隠れた義務付けに関してもしっかり把握して、後悔しないように投資してください。