お金って一体なに?
私たちが普段使っている「お金」。
ものを買うとき、食事をするとき、電車やバスに乗るときにもお金を使いますよね。いつも何気なく使っているお金ですが、そもそも「お金」とは一体なんなのでしょう?
「お金」はモトをただせば「道具」です。
ただし、単なる道具ではありません。お金を使って何かをするということは、「私はこの服を買えるくらい信用がある人だよ」「この食事代をちゃんと払える人だよ」「バスや電車を使うことができる人だよ」という証明をしていることになります。
つまり、お金はあなたの信用を可視化したもの。ですから、お金は単なる道具ではなく、信用の道具。
お金が生活する上で欠かせない道具であり、生活をより豊かにしてくれる道具である理由は、「お金=信用」だからなのです。
したがって、「お金持ちになりたい」と思うのならば、まずは多くの人から信用される人になりましょう。「お金=信用」ですから、信用がある人になればお金が集まり、より良い生活が送れるようになります。
お金の歴史を知ろう

今では普通に100円玉や1,000円札を使っていますが、そのお金の起源はいつなのでしょうか?
お金がなぜ今のような形として使われるようになったのか、お金の歴史について少し勉強していきましょう。
お金は最初から今のような硬貨や紙幣が使われていたわけではありません。昔は貝殻や作物などをお金として使っていた時代もありました。そんなお金の起源は、紀元前1200年頃にまで遡ります。
世界で初めてお金が誕生したとされるのは古代中国です。タカラガイという貝がお金として使われていたと言われています。
お金の機能については5限目で詳しく勉強していきますが、このタカラガイは時間が経っても腐らず、宝飾品としても価値があり、形や大きさが揃うことからお金としての条件を満たしていたようです。
世界初のお金は貝を使った「貝貨」ですが、貝貨が広まるにつれて、やがて貝が不足することになります。
そこで貝の代わりとしてお金になったのが、銅を使った金属貨幣です。金属貨幣は今でもお金として使われていますが、その始まりは2700年以上も前なんですね。
鋳造された硬貨で最古のものは「エレクトロン貨」と言われるもので、トルコ西部にあったリディア王国で作られました。

その後金属貨幣は、ギリシャやローマ、インドへと広く伝わります。中国では、布銭や円銭といった青銅貨幣が作られるようになります。
技術が発展するにつれて、硬貨に文字を刻んだり、同じ形や重さのものを作ったりできたため、硬貨は広く普及していきました。
世界初の紙幣は、中国・北宋の時代に発行された「交子」だと言われています。

なぜこの時代に紙幣ができたのかというと、それは製紙や印刷技術などが発展したから。技術が発展したことで、紙幣を大量に作れるようになり、お金として使われるようになったそうです。
1100年頃には同じ紙でも紙幣ではなく「預かり証(手形)」が生まれます。
手形が生まれたのはイタリア。当時は商取引が複雑化しており、各国の両替商同士が通貨を受け取る際の方法として手形が考案されたと言われています。
また、日本ではこの頃の鎌倉・室町時代に、税を米で納める年貢制度が広まります。
その後江戸時代になると、慶長金銀貨が発行されるようになりますが、硬貨が発行されても武士の給料は米で支払われており、米本位経済と貨幣経済が並立している時代でした。
大航海時代を迎えると、オランダで世界初の株式会社「東インド会社」が誕生します。

多くの人がお金を出し合って、利益を分配するという株式の元になる仕組みは「人類最大の発明」とも言われました。
私たちが普段使っている紙幣は、正しくは銀行が発行している「銀行券」と言います。この銀行券を世界で初めて発行したのは、スウェーデンのストックホルム銀行です。

つまり、紙幣の歴史は16世紀ごろからということになります。そして1694年には、イギリスで当時民営だったイングランド銀行が、政府に資金を貸し付けることで同額のポンド紙幣の発行権を手に入れます。
その後18世紀に入ると、他の国も続々と国営による中央銀行を設立。今私たちが使っている紙幣は、この中央銀行の信用によって売買や交易が成り立っているのです。
1990年代になると、給料が現金支給から銀行振込へと代わり、さらにはクレジットカード決済やSuicaなどのタッチ式プリペイドカードも出現します。

これにより、現金を持っていなくても買い物ができるようになり、どんどん便利な世の中へと変わっていきました。
そして近年、注目を浴びているのが「仮想通貨」。2009年に「ビットコイン」が誕生し、続いて様々な仮想通貨が作られるようになりました。

仮想通貨の特徴はなんといっても、実体がないこと。通貨の情報はネット上の電子データとして記録されます。
そのため、国や銀行などの中央集権的な組織は不要で、世界中の人によって信用が担保される仕組みとなっています。
この仕組みは今までの通貨の歴史を覆す画期的なものなので、私たちの生活を大きく変える可能性を秘めています。
お金の歴史を見てみると、通貨と私たちの生活は共に変化してきたというのが分かります。これからの未来のお金はどう変化していくのか、とても興味深いですよね。
お金の形は一つではない
お金の歴史を見てきて分かったと思いますが、お金の形は一つだけでなありません。「貝」「米」「金属貨幣」「紙幣」「預かり証」「仮想通貨」など、様々なものがお金として認識され使われています。
そして今でも、お金は硬貨や紙幣といった「現金」だけではありません。先ほど出てきた「株券」や「仮想通貨」もそうですし、「金」や「宝石」なんかも価値ある資産としてお金の代わりに使われることもあります。
ですから、「現金」だけを意識してお金と付き合うのではなく、様々な形のお金と上手に付き合っていくことが大切です。
なぜかというと、お金の形は時代とともに変化するから。貝がお金の主役だった時代から硬貨や紙幣が主役に変わった時のように、これからも先の未来はお金の主役は「現金」から別のものに変わっていくかもしれません。
未来のお金とちゃんと付き合っていけるように、今現在は何がお金として認識されているのか、そしてなぜそれがお金としての価値があるのかをしっかり理解しておく必要があります。
現金

今、私たちの生活の中で一番親しみのあるお金は「現金」です。
特に、お年玉や入学祝いなどで1万円などの紙幣をもらうととても嬉しいですよね。ただの紙切れでしかないにもかかわらず、財布に紙幣がたくさん入っているとちょっとドキドキしてしまいます。
しかし、普段使っている1,000円札や10,000円札の原価はたった15〜22円。それなのに、私たちが1,000円や10,000円の価値があるものとして使うことができているのは、お金を発行している日本銀行への「信用」があるからです。
日本円を使っている人みんなが日本銀行を信用し、1,000円札は1,000円分の価値がある、10,000円札は10,000円の価値がある紙幣だと認識しているため、現金の価値は成り立っているのです。
そして、日本という国は非常に現金が大好きな国です。多くの人はまだ財布に現金を入れて持ち歩いていることでしょう。

しかし、近年はキャッシュレス化が進んでいて、世界を見るとキャッシュレス決済の割合の方が多い国もあります。今はまだ「現金」に頼っている人が多いかと思いますが、未来は「現金」を使わない生活が当たり前になる日も近いかもしれません。
モノ

お金の形、2つ目は「モノ」です。資産として価値があるモノとしては、「金」や「車」、「宝石」、「美術品」などがありますよね。
これらのモノの価値は一体どうやって成り立っているのでしょうか?
例えば、1枚の絵画があったとします。この絵画、誰が描いたのか分からないモノだとしたら価値はいくらになるでしょう。
たとえ材料費や制作費などを考慮して1,000円くらいだとしても、誰もその絵画を欲しいと思わず、全然価値がないモノだと思われてしまったら、お金や資産としての価値はありません。
しかし、もしその絵画を描いた人がレオナルド・ダ・ヴィンチだとしたらどうでしょう。多くの人が欲しいを思い、とても価値ある絵画だと認識しますよね。1億円もの価値がつくかもしれません。
つまり、モノの価値は多くの人が価値あるものとして認めることで成り立っているのです。ですから、今現在「現金」の代わりの資産とされている「金」や「車」、「宝石」、「美術品」などはみんなそれが価値あるモノだと認めているということになります。
ただ、この先の未来もずっとそうであるかは分かりません。もしかしたら、今後は全く別のモノがお金として資産として価値あるモノになる時代も来るかもしれないですね。
ペーパー資産

3つ目は、株券や小切手などの「ペーパー資産」です。
一番分かりやすいのが株式。「現金」の代わりとして上場企業の株を保有しているという人も多いですよね。
ただ、ペーパー資産というものの、上場企業の株式は2009年1月5日から電子化されていて、株を購入したからといって実際に企業から紙の株券が送られてくるわけではありません。
そんな株式の価値は、将来的な企業の業績や売上などから判断されます。つまり、企業の価値=株式の価値となります。企業がどんどん成長していけばいくほど、株価は上がっていき、保有している株式の価値も高まっていきます。
また、「現金」としてお金を持っているよりも金利がいいものが多いため、ただ保有しているだけでお金は少しずつ増えていきます。
さらに、株式の場合は「株主優待」という特典もあります。株式についての話は5限目6限目で詳しく勉強していきますが、「株主優待」のために株式を保有している人もいるほどです。
もちろん、企業の業績が下がってしまえば持っている株式の価値も下がってしまうというリスクもあります。しかし、「現金」を保有しているよりも「ペーパー資産」としてお金を持っている方が様々な特典があることも確かです。
デジタル資産

続いては、「デジタル資産」。その中でも今特に注目を浴びているのがビットコインなどの仮想通貨です。
仮想通貨の特徴は、その名の通り実物がないことです。「現金」も「モノ」も「ペーパー資産」も全て実物がありますよね。しかし、仮想通貨には実際の通貨は存在しません。
実際に硬貨や紙幣などが存在しているわけではなく、ネットワーク上に電子データとして「あなたはこれだけの仮想通貨(お金)をもっている」という証明があるだけなのです。
それにもかかわらず、仮想通貨は2017年7月の資金決済法の改正で消費税が撤廃されました。これは、仮想通貨は「モノ」や「サービス」ではなく、正式に支払いを代替する通貨として日本国内で認められたということになります。
そんな仮想通貨が注目を浴びている理由は仕組みと技術の高さです。すごく簡単に説明しますと、
- 分散型のシステム(=つまり、中央銀行や政府などがいらない)
- 不正や改ざんなどのリスクが低い
- 国家をまたいで世界中のどこでも送金ができる
などの画期的な特徴をもっていること。しかし、仮想通貨がお金の主役になるには、まだまだ問題は山積みです。
仮想通貨を取り扱う取引所のセキュリティリスクの問題や、詐欺コインと呼ばれる本来の仮想通貨の目的とは違うコインが多くある問題、さらには国や政府による規制などがあります。
今はまだ投機用としての価値が高い仮想通貨ですが仮想通貨は通貨における「デジタル化」を実現するものになる可能性があります。もしかしたら、本当に将来のお金の主役が仮想通貨に変わる日がくるかもしれませんね。
無形資産

最後は「無形資産」です。今は言わずと知れた情報社会。世界中の情報がネットを叩けば検索でき、お金そのものも急速にデジタル化が進んでいます。その結果、情報やアイディアといった形のないものから富を生み出せるようになってきています。
ひと昔前までは、「労働=お金」になっていました。しかし、今はそうではなくなってきています。前まで人間が行なっていた仕事が機械に代替されるようになってきていますよね。つまり、労働そのものがお金になるというのが難しくなるのです。
今後10年20年で今ある多くの仕事がなくなるとも言われています。ここまで紹介した「現金」「モノ」「ペーパー資産」「デジタル資産」などのお金を手に入れるには、実際に働いてお金を得ることが土台としてあります。ただ、その土台が崩れてします可能性があるのです。
そんな時代に、お金としての価値が一気に高まっているのが「無形資産」。文字通り形のない資産になります。「デジタル資産」も実物がないお金ですが、「無形資産」はもっと「無形」な資産です。
「無形」な資産とは何か、それは私たち一人一人の中にある感性やスキル、才能、経験、知識、人脈などです。
例えば、「会社を起業して、年商1億円まで大きくした」という経験や、「人の心にささるプレゼンができる」という才能、「営業で人の購買意欲を高めるようなセールストークができる」というスキル、「サービスの立ち上げに必要な人材をすぐに集められる」という人脈などになります。
これらは、会社や社会に必要とされる自分の「無形資産」と言えます。情報やアイディアが富を生む時代だからこそ、あなたの無形資産の価値が会社や社会に認められれば、それは収入アップという形でお金に変えられるのです。
この授業のまとめ
- お金を信用を可視化したもの、つまり「お金=信用」
- お金は私たちの生活の変化とともに様々なものに形を変えている
- お金の形は一つではない
- 現金
- モノ
- ペーパー資産
- デジタル資産
- 無形資産
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